業務改善事例
数十人の中小企業がいきなりITの整備といっても、何から取り組めばよいかも分からないし、うまくいくためにはどうすればよいかも分からない。
そんな典型的な会社の取り組みとして、東京中小企業家同友会の会員企業の事例を紹介します。同友会(成文化セミナー)との出会いから自社の事業戦略の重要性を再認識し、受注量の増加、大口の取引先にも対応できる社内基盤を、ITを活用して取り組んでいる企業のご紹介です。
「私はこれまで、どんなに忙しくなり業務を回すのが大変になったとしても、(社員同士の)コミュニケーションで解決できるはず。と社員に言い続けてきました。しかし、成文化に出て根性論ではなく、企業の仕組みとしてITなども活用しながら解決していくことの大切さを学びました。」
同友会に入会と同時に、成文化セミナーを受講された三多摩支部、株式会社トコウ(以下、トコウ)の斗光社長はそんな風に振り返ります。
WEBサイトからの積極的な発信で、営業新規開拓の仕組みを確立
10年前は、いわゆる家族経営の町工場であった。事業継承後、彩の国工場/経営革新モデル企業を取得するなど着実に実績を積み上げています。IT活用では、WEBサイトを再構築し、積極的に発信をした結果、WEBから成約率の高い問合せが非常に多くなり、この6~7年で8割客層が変わったそうです。
3年後の自社の姿を見据えた戦略マップを作成し、IT活用による重点施策を抽出
営業新規開拓の仕組みは出来上がりつつある状態となった次の課題は、受注量が増大・多品種化しても対応できる仕組み作りでした。
全体の最終工程となる塗装という仕事は、前行程の遅れのしわ寄せを一番受けるところであり、これまで以上に品質とスピードが求められるという厳しさに直面しました。
製造現場が回り切れず、多い時期には社員が深夜まで残業してこなすなど、業務遂行的にパンク寸前になることもある様子を見て、このままの状況が続くと、せっかく開拓した直請け企業の信頼を失いかねない。根本的に業務を効率化するにはどうしたら良いか。「IT」も必要なのでは?と真剣に考えるようになりました。
しかし、これまで全て紙とコミュニケーションのみで回してきたということもあり、IT化と言ってもどこから手をつけたらよいか。と思っているところに、同友会でITの専門家の会社と知り合い、現状課題の抽出と3年後を見据えた戦略マップを作成することで、受注後の多品種小ロット・短納期の付加価値を強化・実現するための推進(プロセス)をどう実現するかを社内キーマン全員で検討を開始することができました。
そして、約1年の取り組みで、最初に立てた2つの目標の実現の道筋が見えてきました。
①見積精度の向上・・・長年の経験を積み上げた営業担当者でしか見積もれなかった属人的な業務を脱却するために標準的な見積が算出できるITツール作成。
②受注状況の見える化・・・受注および進捗状況をデータベースに登録することで、何重にも紙やEXCELで書いていた業務の効率化および経営分析するためのデータの組み込み。
目指すは100人体制でも回る仕組み
その目標にむかってばらつき無く標準的な業務で誰がやっても同じ品質になるように
現在社員は39名ですが、100人の体制になっても業務が回る仕組み作りを目指しています。
IT化の取組みを考えた当初は、適当なパッケージは無いか探したこともありましたが、これまでシステムを全く使ってなかった同社にとっては、最初から決め打ちされたパッケージではなく、 IT化(標準化)をきっかけに、実際に運用に乗せ、成果を上げて行くには「どんなルールを作ったらいいか」をキーマン社員と考え、少しずつシステムを作りながら、試しながら1つ1つ解決して進めて行っていることがよかったと斗光氏は語っています。
社長自身が成文化に参加されただけでなく、幹部社員研修や例会に積極的に社員を出しています。
今回自社の新しい取り組み課題について社員が集まって戦略を話し合うということが自然にできているのは、学びが大いに生かされているように感じました。
これから自社のIT活用を検討されている方にとっても、少しづつ業務の改善を図りながら経営に生かすIT活用への歩みは大いに参考になるでしょう。
FileMaker事例
~ ベテランでなくても新入社員がすぐに業務を回せる仕組みつくり ~
中小企業では特定の人しかわからない業務があって、その人が退職することになって困ってしまうことがよくあります。さて、どうしようかという時の事例です。
・仕様をまとめられないので、標準化・IT化ができない。
・EXCELでやっていると属人化してしまう。
・パッケージ等のかっちりしたシステムは、柔軟な変更ができず業務が回らない。カスタマイズができるものもあるが、結局高くなったり、パッケージの良さを生かせない状況になることも多い。(各社の業務に合わせようとした場合)
・自社の業務に合わせたシステム化ができる。
・はじめに設計をすべて固めてしまわないと開発に入れないわけではなく、ある程度の変更を見込んで開発に入り、イメージを共有しながら進めていくことが比較的容易。(程度問題ではあるが)
・システム導入後も、ユーザが自分で追加・変更できるので、いちいち開発会社に頼む必要がなく、早く対応できコストも安い。
・全体として、他の方法に比べて安価にできる。システム開発の精通している人がいなくても進められる。
中杉IT応援隊の紹介