・ザ・ゴールは、TOC(Theory of Constraints 制約理論)の理解と実践のために、エリヤフ・ゴールドラット博士によって書かれたビジネス書です。
・TOCは、「どんなシステム(組織・機能)であれ、常に、ごく少数の要素または因子によって、そのパフォーマンスが制限されている」という仮定から出発した、経営改善手法です。
・パフォーマンスを制約しているものは、ボトルネック又は制約条件と言われます。
・TOCを用いることによって、ボトルネック(制約条件)にフォーカスして問題解決を行うことにより、短時間で著しい成果が得られます。
・ザ・ゴールのストーリーでは、大企業・ユニコの神奈川工場に半年前に所長として赴任してきた新城吾郎氏が、ユニコ ユニウエア本部長から3か月以内に神奈川工場の赤字を解消し、立て直せなければ、工場閉鎖の可能性を示唆されたところから始まります。
・新城氏は海外出張中の空港で、恩師である物理学者・経営コンサルタントのジョナ氏と出合い、その後、ジョナ氏の指南を受け、工場にTOCを実践していくことになります。
1. 会社の目標とは:新たな3つの指標
(2)在庫 販売しようとする物を購入するために投資したお金
(3)業務費用 投資をスループットに帰るために費やすお金
・企業の目標(ゴール)は、お金を儲け続けることです。それ以外のすべては目標を達成するための手段です。例えば、①効率的に製品を作ること、②マーケットシェアを上げるなどはその手段にすぎません。
・工場では、様々な評価指標を使って目標をたて、業務達成度合いを評価していますが、場合によってはそれらの指標は役に立ちません。
・会社全体で考えれば、儲かっているか否かを評価するため、①純利益、②投資収益率、③キャッシュフローという3つの財務指標を同時に達成する必要があります。
・しかし、工場などの現場では、これらの財務指標との直接的な関わりがなかなかピンとこないことが課題でした。
・ザ・ゴールのストーリーでは、ジョナ氏は、新しい指標、①スループット、②在庫、③業務費用を用いるように示唆します。
・①スループットとは、生産ではなく「販売」を通じてお金を作り出す割合です。生産しても売れずに在庫に残っていれば、会社にはお金が入ってきません。
・②在庫は、販売しようとする物を購入するために投資したすべてのお金です。在庫の状態では、まだお金は製造プロセスの中に溜まっているわけです。
・③業務費用は、投資をスループットに帰るために費やすお金のことです。工場における労働時間や、手待ち時間等も業務費用となります。
2.依存的事象と統計的変動
(2)統計的変動 同じ作業にも時間のばらつきがある
⇒2つの現象が合わさった時の効果が重要
3.ボトルネックを探せ
(2)非ボトルネック 与えられた仕事量より処理能力が大きいリソース
・①ボトルネックとは、その処理能力が与えられた仕事と同じかそれ以上のリソースのことです。
・②非ボトルネックとは、与えられた仕事量より処理能力が大きいリソースです。
・工場の処理能力を決めるのはボトルネックのため、ボトルネックを通過できる分しか工場は生産することができません。現時点では、各工程はボトルネックに合わせて生産することになります。
・しかし、いつまでもボトルネックをボトルネックのままにしておくと、生産能力は上がりません。
・ボトルネックをどのように解決していけばよいのでしょうか?
②ボトルネックの負荷を減らし生産能力UP
・ボトルネックを活用(解消)する方法は2つあります。
・①ボトルネックの時間のムダをあらゆる方法でなくすことです。例えば、従業員の休憩時間をシフト制にして、ボトルネックになっている機械の稼働を止めないことです。また、すぐに作る必要のない部品は作らないことです。
・②ボトルネックの負荷を減らして生産能力を増やすことです。例えば、下請へ製造委託をしたり、以前に使っていた旧式の機械を再稼働させるなどの方法です。
・リソースを活用するためには、個々のリソースを目いっぱい働かせるのではなく、目標達成のためにリソースを使うという意識を持つことです。
・そのためには、ボトルネックのベースに合わせて資材をタイミングよく投入する方法を見つけることが必要です。
・ボトルネックに合わせて工場中の資材を投入できれば、工場のリードタイムを短縮することができます。
4.継続的に利益をあげるために
(2)制約をどう徹底活用するか決める
(3)他のすべてを(2)の決定に従わせる
(4)制約の能力を高める
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